2007年1月20日 (土)

ヒロイン七変化②-七変化はどこにいくのか?

Sヒーロー七変化
東映戦隊ものの七変化というと女性メンバーのものというイメージが強いが、実はヒーローたちも七変化している。
なかでも元祖ヒーロー七変化といえば、“ミスター東映特撮”-宮内洋氏を紹介しなければなるまい。宮内氏は「快傑ズバット」でも毎回ユニークな変装をみせてくれたが、「ジャッカー電撃隊 VOL.5 」#29:行くぞ七変化!鉄の爪対ビッグワン では七変化合戦を繰り広げている。鉄の爪ことクライムの首領アイアンクローが、蛇採りの男→美女→山伏→老婆→幼稚園の先生→銅像 と6変化するのに対し、番場壮吉(ビッグワン)は、ホテルのボーイ→片眼の運転手→虚無僧→紙芝居屋→掃除夫 と5変化。宮内氏は全てご自分で演じているが、石橋雅史氏演じる鉄の爪の美女、老婆、幼稚園の先生など女性への変身は女優さんが吹き替えしている。桃井あきら七色レディのルーツとして前回モモレンジャーの七変化を紹介したが、年代的には番場壮吉vs鉄の爪の七変化合戦もルーツといえる。
 
宮内氏と並んで男の七変化を披露したのがデンジブルー役もつとめた大葉健二氏。氏は「宇宙刑事ギャバン Vol.2 」の#22:黄金仮面と妹 太陽に向かって走るヨットで、老婆→金髪美女(!?)→グラディエーター(ローマ剣士)→ガンマン と華麗なる5変化をみせる。大葉さんのコミカルな演技がさえるが、女装だけはちょっと無理があったみたい。また男の七変化としてはベーダー一族のヘドラー将軍も見逃せない。「デンジマン」#49:ベーダー城大異変で、デンジマンたちはヘドラー将軍の華麗な変装の前に次々と捕らえてしまう。香山浩介氏(現・藤堂新二)は、テニスプレイヤー→老婆→タクシー運転手→美女→怪盗X→マジシャン→ピエロ とジャスト7変化。3人のなかでは一番スマートかつ鮮やかな七変化といえる。男の七変化というとちょっと違和感があるかもしれないが、七変化の元祖は「多羅尾伴内」だから本来七変化は男のもの!?近作では、「仮面ライダーカブト」の加賀美新[演・佐藤祐]が「てれびくん」読者特典DVD「仮面ライダーカブト超バトルDVDガタックハイパーフォーム」で七変化ならぬ?変化を披露している。

S_1悪の華七変化
元来変装して敵を欺き、密かに作戦を遂行するのは悪側の女スパイ・女幹部たちの常套手段だった。BFJのサロメにはじまり、ミラー・ケラー、アマゾンキラー、マズルカ、キメラと彼女たちは毎回のように変装しており、回数的にもセクシー度からいっても女戦士は負けてるかも? なかでも萩原佐代子さん演じるレー・ネフェルは「変装が得意」と自称するほどで、女子高生からウエイトレス、エイリアンハンターまで女戦士顔負けの変装をみせる。また「ジュウレンジャー」#38でメイ姫と七変化対決を繰り広げたラミィ[演・河合亜美(現・河合亞美)]も忘れられない。黒眼鏡の女→婦警→老婆→男装の麗人 と次々と変身して互いに化かし合う二人のスピーディな演技は見物。「忍風戦隊ハリケンジャー Vol.9 」#34:キノコと百点 では、ウエンディーヌ[演・福澄美緒]が七変化を披露、女教師→テニスルック→女医→スーパーレジ係と変身して、母親たちを騙し子供を塾へ入れんと奔走する。戦隊シリーズではないが、「宇宙刑事シャイダー」のギャル軍団も毎回楽しいコスプレ(否、変装)をみせてくれた。彼女たちは作戦を遂行するため体を張って様々な変装に挑戦しているが、女性幹部の変装ケッサク選一位には、やっぱりマズルカの農婦(大戦隊ゴーグル5 VOL.1 #04)を推したい。

「女戦士のたしなみ」といわれた七変化も、近作「ボウケンジャー」#38:虹の反物の“風のシズカ七変化”で、悪側にすっかりおかぶを取られた感じだ。変身能力を身につけることができるプレシャス(虹の反物)を手に入れたシズカちゃんは、ガンマン→チャイナドレス→女子高生(スケバン刑事風)→ナース→トラック(!?)と5変化(→YouTube動画)。反物がくるくる巻き付いて変身する様子は歴代の七変化のなかでも秀逸だと思う。ロケ地は以前紹介した所沢航空記念公園。シズカを演じる山崎真実さんは高校時代、新体操で国体代表の経歴を持っており、本人のアクションもなかなか決まっていた。悪役にしておくのはもったいないぐらい? 女戦士サイドのリベンジを期待したい。
次回コラム「七変化③」につづく…

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2006年12月19日 (火)

ヒロイン七変化①-七変化は女戦士のたしなみ

20_1 謎なぞ七色レディ
「七変化は女戦士のたしなみよ!」-これは「百獣戦隊ガオレンジャーVSスーパー戦隊 」でのメガピンク・今村みくの有名な台詞だが…調べてみると歴代の戦隊ヒロイン全員が七変化話を演じているわけではない(実際この台詞を言ってる みく自身、七変化してないんですよね…)。
しかし「戦隊ヒロイン恒例の七変化話」などと、語られてしまうのは、やはり電子戦隊デンジマン VOL.5 #43における桃井あきらの変幻自在の大活躍が強烈すぎたのかもしれない。桃井あきらは#43で、青のワンピース→カンフー→インディアン娘→チャイナドレス(写真②)→ライダー→水兵→女剣士→修道女→マドロス(船乗り)→マリリンモンロー→バニーガール(写真①)→ガンマン→ベルばら風騎士と13変化!冒頭とEDでみせる変身(赤いワンピース、野球選手、アラビア風、カルメン)や通常の冬服も加えると、なんと18変化!!している。この“記録”は戦隊史上最多を誇り…おそらく今後も抜かれることはないだろう。#43の他にもあきらは#08でガンマン(ミニスカ)と時代劇の衣装になっている。

13_1 これまでの作品にもヒロイン主役の物語はあった。しかし桃井あきらの主役回は10回を数え、「制作スタッフも当初からこの桃井あきらというキャラクターに従来にない位置付けを行おうとしていた様である」という指摘はおそらく間違いない。そして#43エピソードによって、戦う女性隊員としての役割に、アイドル的な意味付けがプラスされたことも画期的なことといえる。それは男中心の戦隊で単なる紅一点の存在に過ぎなかった戦隊ヒロインが活路を見出していく方向性を指し示す作品だったのかもしれない。新たな戦隊ヒロイン像が展開していったその起点として#43と桃井あきらは記憶されてよいだろう。
それにしても#43の七変化は、もはや「変装」の次元を超えた“桃井あきらファッションショー”となっている。それも前後や周囲との脈絡のほとんどない衣装の連続であり、いわゆるコスプレショー。衣装の選択についてはメチャクチャ、やり過ぎの感も否めないが、その徹底さが伝説となる由縁である。この辺の詳しい事情はわからないが、東映における「七変化の伝統」プラス「実写版キューティハニー」を狙ったというのが真相に近いのではないだろうか?変身の合間に空中を回転しながら衣装を替える様はハニーフラッシュ!を彷彿とさせる。「大全」のインタビュー記事によれば、#43の衣装は東映の衣装部にあったものとのこと。

戦隊ヒロイン七変化話
次に歴代の戦隊ヒロインの七変化話をまとめてご紹介しよう(結構見落としがあると思うのでご容赦ください。他にもご存じの方は是非教えてください)。手っ取り早く歴代の七変化話をダイジェストに見たい方は上記の「ガオレンVSスーパー戦隊」か「スーパーヒロイン図鑑1 戦隊シリーズ+ライバル篇 」「スーパーヒロイン図鑑3 戦隊シリーズ篇2+メタル&アイドル篇 」を参照のこと。

Photo_4 ペギー松山(秘密戦隊ゴレンジャー Vol.10 #57:黒い包囲網!五つの顔のペギー/1976)
調べてみると、戦隊ヒロイン七変化の元祖はモモレンジャー・ペギー松山(小牧りさ)だった。七色レディの影にすっかり隠れてしまい目立たなくなってしまったが、#57でウエディングドレスの花嫁→纏持ち(町火消し)→テニス選手→金髪の外人→ウェットスーツ(潜水夫)と五変化を演じている。潜入した町で次々と変装しながら秘密基地を暴くというストーリーだが、正直怪しい変装でかえって目立ってる感じもする。まあこのお遊び感が東映七変化ものの良き伝統ともいえる…

桃園ミキ(大戦隊ゴーグル5 VOL.3 #22:呪い人形の攻撃!, #09:地獄のキノコ村, #20:死の花毒サボテン/1982)
デンジピンクと共にヒロインブームを不動のものにしたといわれるゴーグルピンク・桃園ミキ(大川めぐみ)だが、#22で日本人形→ピエロ→フランス人形→王子様(写真③)と四変化。あきらの七変化と比べると少々見劣りするが、ミキはこの他の回でも#09で村娘の踊子や婦警、#20のフラメンコダンサーなど頻繁にコスプレを演じている。また回数だけでなくミキの美しさを引き立たさせるような変化が見物!

この後、しばらくは七変化話はなく、単発的な変装ものが続く。ダイナピンク・レイは#13[さらわれた花嫁/1983]で花嫁姿、#17[恐怖!九州大地震]でガンマン、バイオマン#46[脱出わなの町/1984]では、ひかるが婦警、ジュンがガンマン姿となっている。

B_1 アニー(宇宙刑事シャイダー Vol.3 #29:百面相だよ 女刑事/1984)
戦隊ヒロインではないが、#29でアニー(森永奈緒美)も七変化を演じている。お婆さんの姿でフーマの店に潜入し、捕らえられた後、変化しながら逃走するというもの。お婆さん→店員→マネキン→藤娘→花嫁→レオタードと六変化。内容的にはちょっと地味かな~?アニーは#19[アニー危機一髪]ではガンマンになって単身敵基地へ乗り込む。まあアニーの場合、普段着が既にウエスタン風なのだが… ロケ地はららぽーと志木(05/3閉鎖)。

翼麻衣(チェンジマン#44:麻衣におまかせ/1985)
さやかと服を交換したフェニックス・麻衣(大石麻衣)が西部劇風の町に閉じこめられ、七変化で正体を隠しながらギルークに接近しようというストーリー。さやかルック→ウエディングドレス→フラメンコダンサー→インディアン娘→修道女→ガンマン(写真④)と六変化。最後のガンマンが一番似合ってたような… 戦隊久々の気合いの入った七変化話。どうせならさやかと二人でダブル七変化をやって欲しかったというのは欲張りだろうか。ロケ地は日光鬼怒川ウエスタン村。

Photo_5 森川はるな(ターボレンジャー#13:魔女をワナにかけろ!/1989)
ピンクターボ・はるな(木之原賀子)が囮捜査で巫女さんと花嫁姿に変化している。80年代後半は戦隊シリーズの過渡期ともいわれており、いろいろと模索が続けられていた時期。“恒例の七変化話”も途絶えてしまった感がある。

メイ(ジュウレンジャー#38:メイ姫七変化!!, #26:カキ氷にご用心/1992)
ラミィとドーラシルキス(幼虫)によって4人は繭の中に捕らわれ、メイ(千葉麗子)は変身できなくなる。メイはピエロ→チャイナ服→セーラー服→仮面の騎士→修道女→花嫁(写真⑤)と六変化。ラミィとの変装合戦も楽しめる#38はお勧めの一本である。かわって#26はトットパットの垂らした毒入りカキ氷を食べたメイとダンは正確が豹変… ツッパリ→賭場荒らし→ギャングと悪の三変化。ジュウレンジャーはいくつかの新機軸が導入された意欲作だが、ヒロインにアイドルを本格的に登用、フューチャーし始めた作品でもある。メイは衣装だけでなく髪型も17回変わっているのでご注目を。ちなみにロケ地は光が丘パークタウン(光のアーチ)。

ダイレンジャーのリン、カクレンジャーの鶴姫も七変化ぽい回(ダイレン#33,カクレン#35)もあるものの、いわゆる“七変化話”でなく残念。この後、アバレンのらんるまでは変則的な七変化話が断続的に続いていくことになる。

Photo_6 マツリ(救急戦隊ゴーゴーファイブ Vol.7 #33:ウブな災魔の戦士/1999)
凶暴サイマ獣・タナトスの弱点に目をつけたショウに呼ばれたマツリ(現・柴田かよこ)は…コギャル→チャイナドレス(丈が短い)→チアガール→レースクィーン(写真⑥)と四変化する。悩殺されたタナトスは頭がボン!時代的なものだろうか、七変化も何となく垢抜けてきたカンジぃ~がする。特にレースクィーンのコスは80年代前半にはなかったもの。メイ姫の七変化と比べるとお色気を意識した衣装選びとなっている(お父さん対策?)。

ユウリ(未来戦隊タイムレンジャー(3) #22:桃色の誘惑/2000)
ユウリ(勝村美香)のダメ主婦ぶり全開の#22。キョウコを見返すため女の魅力挽回をはかるが… エプロン姿→パジャマ→レオタード(トレーニング)→エステ通い→ボディコン(もちろん超ミニ)→白いつば広帽子に白ワンピースと六変化。でもこれって本来の七変化話ではないなぁ~

樹らんる(スーパー戦隊シリーズ 爆竜戦隊アバレンジャー Vol.9 #35:アバレナデシコ七変化たい!/2003)
題名から久々の七変化話と期待されたが、らんる(いとうあいこ)はデパガ(受付嬢)→ミニスカポリス→レオタード(新体操)と三変化、その後普段着のアバレジャケット→タンクトップとなるので、アバレイエローも含めてなんとか六変化?(ちょっと苦しい)

その後は、デカレンジャーのウメコ、ジャスミンの二人が#17[ツインカム・エンジェル/2004]でチャイナドレスを披露、#18[サムライ・ゴーウエスト]では時代劇衣装にも挑戦している。デカレンの変身アイテム使えばもっと七変化できそう! マジレンジャー#05[恋をしようよ~マージ・マジーロ~]も七変化といえば七変化だが、マジピンクの変身するものはピンク色の蜂、ラジカセ、ポスト、扇風機…

Photo_7 Jushi Sentai France Five_episode4(2005)
戦隊ヒロインの七変化話として、「銃士戦隊フランスファイブ」も取り上げておきたい。フランスファイブはフランス人の特撮ファンによって作られた戦隊ものだが、episode4で、ピンク・アラモードことカトリーヌ・マルタンが華麗な七変化を披露している。このフランス製戦隊は日本の戦隊もののオマージュとして制作されており、“戦隊ヒロイン恒例の七変化”もちゃんと入っている。ロボや六人目のメンバーも登場し、映像的にも結構凝っていて侮れない。ストーリーはシリアスだが、戦闘シーンやメンバーの普段の生活はコミカルだったりとなかなか笑える。フランスファイブは無料ダウンロード可能なので是非一度見てみて欲しい。ちなみにカトリーヌはファッションモデル?(鳥の羽を頭につけてる)→カンカン娘→黒のワンピース→コックさん?→カフェのウエイトレス→キャビンアテンダントと六変化する。

オーレンジャー#43[切り札は七変化/1996]も変装話ではあるのだが、いわゆるヒロインが次々と衣装を替えていく七変化ではない。内容的にはバイオマン#46に近い。ちなみにゴレンジャーの#26[青すじ七変化!恐怖の毒薬博士]も七変化話ではない。モモレンジャーの七変化は#57、お間違えないように。

戦隊ヒロイン七変化の傾向として、ガンマン、チャイナドレス、婦警が多い(そういえばボウケンジャー#38の風のシズカのコスプレも…シズカは次回取り上げる予定)。また、近作ほど七変化するシチュエーション(変身ができないなど)にこだわってる感があるが、脈絡のない荒唐無稽さが七変化の醍醐味のような気がする。これまで七変化話は3年おきぐらいで演じられてきたが、最近は毎年のように七変化ネタが登場しているので、来年も期待できるかも? ともかく東映さんにはがんばって七色レディを超える面白い七変化を作っていって欲しい!!
次回コラム「七変化②」につづく…

<参考文献>
スーパーヒロイン図鑑1 戦隊シリーズ+ライバル篇(初刊VHS/1992, DVD/2001)
スーパーヒロイン画報―国産スーパーヒロイン30年のあゆみ
B-CLUB  82号(1992/9 バンダイ)

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2006年10月10日 (火)

青梅大五郎-不滅のヒーロー魂

Bl俳優・大葉健二
デンジブルー/青梅大五郎を演じた、スタント不要のアクション俳優-大葉健二さんの経歴については、ここで改めてご紹介するまでもないだろう。本名 高橋健二。1955年2月5日生まれ。千葉真一が主催するJAC(ジャパンアクションクラブ/現JAE=ジャパンアクションエンタープライズ)の一期生で、スーツアクターやスタントマンとして頭角を現し、「バトルフィーバーJ」(1979年, テレビ朝日)のバトルケニヤ・曙四郎役で東映特撮ものレギュラーデビュー。「デンジマン」出演の1年後、「宇宙刑事ギャバン Vol.1」(1982年, テレビ朝日)の一条寺烈役で主演デビューをはたしたことはよく知られている。デンジマン出演時は25歳だった。ちなみに芸名の「大葉」は、師匠の千葉真一氏からいただいた「万葉」姓の使用を憚って、万→大にしたという。
1988年より故郷の愛媛県松山市に戻り、現在はヒーローショーなどのイベント主催会社「株式会社・ラックJET」代表取締役。アクションチーム「ラミーM5」のプロデューサー兼座長も勤めている。ラミーM5は年1回6月頃、地元松山で自主公演を行っており、今年で15回目の公演となる。本家のJAEも認めるホンモノのアクションが見られるそうだ。

母屋の夢味電車
大葉さんはイベント会社やラミーM5を率いるかたわら、「母屋の夢味電車」(愛媛県松山市高野町甲51-1 / 地図情報)という食堂も経営している。なんとこの食堂は旧国鉄の列車を改装したもので、道後温泉から奥道後に向かう道路脇にどーんと立っている。写真は昨年訪れた時のものだが、この時は残念ながら大葉さんはお店にいらっしゃらなかった(火・土曜にはいらっしゃるという情報も…)。新幹線の名前を付けた定食弁当などユニークなメニューが多いが、全体的にボリューム感があり、大葉さんのエネルギッシュな雰囲気を彷彿とさせる。
アクセス:JR松山駅前から伊予鉄バス「奥道後・湯の上ニュータウン行き」に乗車、高野バス停下車すぐ
営業時間:午前11時~午後9時 定休日:木曜日
Tel:089-914-0546

あんパン中毒
大葉さんは当初、デンジブルー/青梅大五郎を「怒りっぽい強面キャラ」でいこうとされていたらしい。宮内洋氏が演じたアオレンジャー/新命明やガッチャマンのコンドルのジョーから連想されたのだろうが、大葉さんにはクールな二枚目は似合わない。そういえば最初の方の回では険しい表情が多い。三枚目キャラへの変更は#08白骨都市の大魔王辺りからか?(結局クールな二枚目役は内田直哉氏演じる緑川に取られてしまう・・・) 青梅といえばキレンジャーのカレーと並ぶ“あんパン中毒”が有名。これも撮影途中で考え出され、だんだんエスカレートしていったらしい。「アスレチックにおいでよ!-青梅大五郎アンパンリサーチ」では青梅のアンパンシーンが集計されている(#01-22まで)。劇中ではロッカーにアンパンが積まれてるシーンもあるが、いったい何個あるのやら・・・。

Bl556a556(コゴロー)
以前のブログ(2005/5/7)でも紹介した「ケロロ軍曹 (6) 」(吉崎観音著,少年エース,1999年より連載/アニメは2004年から)に、「556(コゴロー)」という宇宙探偵(自称)が登場する(「ケロロ軍曹」6巻-第46話, TVでは24話で登場=DVD:ケロロ軍曹(6))。トラブルメーカーのケロロも556の前では霞んでしまうくらいの大トラブルメーカーで、悲しげな瞳で銃をかまえる美少女-妹のラビーを伴い地球へやってきた。築43年、4畳半1間、家賃月13,000円のもたな荘に住み、特技は立ち止まらない事、夢をあきらめない事で、蒸着ならぬ“癒着”のかけ声と共に変身?する。
ウルトラセブンからガンダム、戦隊ものまで往年の特撮・アニメネタ炸裂のケロロ軍曹だが、この556-どうみても宇宙刑事それも大葉さんがモデルとしか考えられない(ラビーはもちろん「宇宙刑事シャイダー」のアニー)。556の名前も青梅大五郎からの連想だろうし、「ケロロ軍曹」7巻-第59話では、宇宙刑事ギョボン役の小葉健二まで出てくる! 556の熱いハートを唄った「556燃える愛のテーマ」はケロロ軍曹 宇宙でもっともギリギリなCD 第2巻 (通常盤) に収録されている。 

キル・ビル
大葉さんは最近ではタランティーノ監督の「キル・ビル Vol.1 」(Kill Bill: Vol.1, 2003年)に出演してファンを喜ばせた。千葉真一氏演じる服部半蔵(刀鍛冶)の弟子役で、寿司屋のシーンでの千葉さんとの“漫才”が笑える。このシーンの二人の日本語でのやりとりはすべてアドリブで、千葉さんは「どうせクエンティンは日本語わかんないんだから」とアドリブをかましまくっている。キル・ビル自体、いろんな作品のオマージュやパロディ満載の映画なのだが、シリアスな内容であってもこういった“遊び”の要素はほんとうに大切だと思う。
大葉さんの近況は、「フィギュア王 No.78 (78) 」No.78(2004/06,ワールドフォトプレス)で紹介されている。大葉ファンなら、「アクションポーズ写真集〈ACT.1〉大葉健二・スーパーヒーロー編 」(2003/06,エムピーシー)も見逃せないところ。記事を読んでいると、デンジブルーやギャバンの役どころは、ご本人の性格そのまま地でやってられたんじゃないかと思う。アクション、スタントができて、なおかつ喜劇から悲劇まで演じられる役者というとなかなかいない。デンジマン本編が人間ドラマとしても成功した理由のひとつに、大葉健二さんの存在を忘れることはできない。

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2004年11月21日 (日)

ミラー・ケラー-美しき女幹部ふたりのプロフィール

Kojob

「美しく、セクシーな女幹部」-最近の戦隊ものでは当たり前の設定だが、一昔前の悪の組織はまったくの男社会で、女性も蜂女みたいな怪人やアマゾネスのような方々ばかり・・・デンジマンにおける「ミラー・ケラー」は女性幹部が二人という設定も初めてのものだったが、その妖しい美しさは「セクシー系女性幹部」の先駆けといえよう。

ケラーを演じた湖条千秋さんが宝塚歌劇出身(雪組)であることは(ファンの間では)よく知られている。元々は男役だったが、途中で娘役に転向された。宝塚時代には、1975年「ベルサイユのばら」のジェローデル少佐(新人公演のみ)、76年の「星影の人」の加代、77年「あかねさす紫の花」では小月など、主役級ではないが難しいキャラクターを演じている。そろそろいい役がつき始めた時期に思い切って退団されたようだ(1979年退団)。時代劇がやりたいということで東映を選んだが、退団後の最初の仕事がいきなり「特撮もの」-デンジマンだった。ケラーの衣装についてはかなり恥ずかしかったそうだ。デンジマン出演後は、特撮作品(マシンマン-レディM, シャリバン-レイサ)にも出ているが、時代劇の悪女役でのギラギラ演技には定評がある。全然年をとらない不思議な女優さんとしても有名。1955年生まれで、放映当時は25歳。妹の湖条れいかさんもタカラジェンヌで星組トップ娘役をつとめた。写真はザ・レビュー公演時のもの。

Mikawa2b ミラー役の美川利恵さんは驚くほど多彩な経歴を持っている。まず1972年度のミス日本になり、その後は、万博コンパニオン、ファッションモデル、テレビレポーター、得意の英会話で外国映画に出演などしたが、一度芸能界を引退。78年に男性週刊誌のグラビアでヌードを披露したことをきっかけに、79年3月に日劇ミュージックホール(81年に閉鎖,有楽町マリオンに改築)のヌードダンサーとなっている。初舞台は「乳房に舞う蝶のいたずら」。最近のミス日本受賞者は続々とヌードになるので珍しくないが、当時は相当話題になったようだ。美川さんはモダン・バレエ歴10年の実績を持っており、劇中でみせた踊りのシーンで湖条さんに少しもひけをとっていないのも頷ける。79年夏の「バトルフィーバーJ」能登半島編の女スパイ役でのゲスト出演が、翌年のデンジマンでのレギュラー出演につながったのだろう。放映当時は27歳だった。ヘドリアン女王はタカラジェンヌとミス日本を従えていたことになり、今では考えられない豪華な配役だったわけだ。あきらさんも79年度ミス日本なので、デンジマン出演者にはミス日本が二人もいたことになる。

ミラーとケラーは、へドリアン女王に仕える侍女そしてベーダーの女スパイなのだが、ある時は、秘書、踊り子、看護婦、占い師、受付嬢、深夜放送のDJ、はたまたハンバーカーの売り子さんと作戦に応じて七変化する(テロップには役名がなく名前しか出ていないのはそのためではないだろうが)。女王に仕える侍女としては同格のようであるが、どちらかというとケラーの方が格上というか姉貴的役回りが多い。ケラーの表情を変えずに戦闘員を指揮し、「抹殺せよ!」のセリフはゾクゾクするほど決まっていた。それにしてもヘドラー将軍も含めてこの人たち“幹部”なのに現場に出てよく働く働く。女王があんな感じだし、ベーダー怪物もダストラーもいまいち頼りにならないのはわかるんだが・・・
ミラー・ケラーの名前の元ネタはやはり一世を風靡したピンクレディの“ミーとケイ”からだろう。1979~80年といえば、ピンクレディの人気が最高潮に達しそろそろ人気にかげりが見え始めていた時期(実際の解散は翌81年)。1980年は山口百恵の引退した年でもあり、松田聖子のデビュー年でもある。デンジマンは新機軸がたくさん盛り込まれた作品だが、芸能界にとっても1980年は時代の変わり目だったようだ。デンジマン以後の作品では、悪の女幹部が必ず設定される時代となったが、ミラー・ケラーの成功はキャラクター設定もさることながら、湖条さん、美川さんお二人のすごい“オーラ”によるところが大きいのではないだろうか。

参考文献:
「宝塚おとめ」1976年版 1976/8/1, 「あかねさす紫の花 ザ・レビュー(宝塚歌劇11月雪組公演)」1977/11/1
「アサヒ芸能」1979/3/1 p.31, 「週刊読売」1979/3/25 p.166, 「週刊プレイボーイ」1979/2/27, 「週刊平凡パンチ」1978/12/25

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2004年11月 8日 (月)

桃井あきら-伝説の戦隊ヒロイン

Akira2b 「桃井あきら」-知る人ぞ知る戦隊ヒロインだが、実に忘れられない要素が多い。まず名前-最初“あきら”と聞いて男だと思ったら実は女。確かにあきらって女性の名前にも使われるが、この名前のおかげでしかっりと記憶にインプットされた方も多いのではないだろうか?ピンクを演じた小泉あきらさんの本名は「秋野 昇」。芸名の「小泉あきら」は東映の吉川進プロデューサーと竹本弘一監督が名付け親とのことだが、下の名は本名「昇(あきら)」だったわけだ。

実は小泉あきらさん、「’79年度ミス日本(第11回1978/12)」の華麗な肩書きを持っている。グランプリ受賞ではないが、正真正銘ミス日本の一人。ミス日本は、数千人の応募者から各地区予選が行われて、グランプリを含めて5人がミス日本、他に5人が準ミスとして選ばれるシステムなので、ミス日本は複数存在する。戦隊ヒロイン中ミス日本は小泉さんがいまだ唯一人だろうし、その美貌に高年齢層のファンの人気が集中したのも無理はない。#43::謎なぞ七色レディで「私が囮になるわ」と妙に自信たっぷりに演じているのはやはりこの肩書きのおかげか!?#43でみせた華麗な七変化-「戦隊シリーズ恒例のヒロイン七変化話の基礎を築いた」といわれる歴史的なエピソードとなっているが、1話中で14変化(本編以外も含めるとなんと18変化!)の記録?は戦隊シリーズ史上いまだ抜かれていない。#43の七変化は変装というよりほとんどコスプレに近いのだが・・・※七変化話については再度コラムで取り上げる予定
小泉さんは静岡県出身で、県立静岡東高校を経て日大芸術学部音楽学科に在学中に、デンジピンク(桃井あきら)役に抜擢された。音楽の先生の資格を持ち、特技はピアノとあるから、#02:人喰いシャボン玉や#09:死を呼ぶ怪奇電話、#12:危険な子供スパイなどの劇中でみせたピアノの演奏は上手なはず(ある意味本職!)。それに比べるとウインブルドンを目指していたはずのテニスの腕前は???

小泉さんは1981年の資料では劇団NLTの研修生となっているが、ドラマ出演歴はデンジマンが唯一の作品で、その後はモデルとしてCM出演、ファッション誌やカタログ広告などで現在でもご活躍中(現在の芸名は弓あきら)。マドモワゼルというモデル事務所に在籍している。1988年のムック本には「ゴーグルV」や「ダイナマン」のブラック役で有名な春日純一さん(#40では岬達也を演じている)の奥さんとある。
Akira1ab 桃井あきらメインのいわゆる“あきら編”は10話程あるが、他の回でもメイン出演者のサブとしていつもくっついて行動しているので、桃井あきらはほとんど主役といってよい!?また、とにかくこまめにあるのがデンジピンクのピンチで、よく襲われる、拉致される、監禁される、洗脳される、負傷する、惚れられる?・・・この点では黄山(デンジイエロー)と双璧をなす?桃井あきらの普段着は、春(青色のホットパンツ#01~15) 夏(ピンクのミニスカ#16~36) 秋(赤いロングスカート#37~42) 冬(セーター+ミニスカ#43~51)と変わる、普段着の種類も戦隊シリーズでは多い方だろう。特に夏服のミニスカは膝上30cmとマイクロミニに近く、戦隊初のミニスカヒロインとして(特に大きなお友達に)人気が高い。

変身後のデンジピンクの中には男性-女性よりも女性らしい動きをするスーツアクター・竹田道弘さん(現在戦隊もののアクション監督)が入っていたことは有名な話だが、最近「東映ヒーローMAX」Vol.10(2004/8/2,辰巳出版)の小野寺えい子さんのインタビュー記事をみて、小野寺さんが桃井あきらのスタントもやっていたことを知った。#18:南海に咲くロマンや#35:謎のはたおり姫 でのあきら素面のアクションシーンは男の人だと思っていたが、実は小野寺さんだったらしい。

戦隊ヒロインアイドル化の先駆け」「番組の華としてよりアピールを始めた最初のヒロイン」などと評価される桃井あきら-小泉あきらさんだが、現在にいたる“ヒロインブーム”牽引の立役者の一人としてこれからも永く語り継がれることだろう。

1959年2月21日生まれ(出演時は21歳)
身長165cm 体重50kg B84 W60 H88

参考文献:
「映画情報」1980/6月号(国際情報社), 「週刊プレイボーイ」1980/5/6(No.19), 「日本タレント名鑑」1980年版 1980/11
「B-CLUBビークラブ」82号1992/9/15(バンダイ)p.17, 22
「スーパーヒロイン画報(1967-1997)」1998(竹書房)p.75, 102
「宇宙船別冊スーパーギャルズ・コレクション」1983(朝日ソノラマ)p.2~5

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2004年11月 6日 (土)

赤城一平-元祖イケメンヒーロー!?

Yukib 「変身シナイデ!デンジマンの結城真一が大モテ」-デンジマン放映中の1980年6月の女性週刊誌の記事だが、劇中では「あの赤城がモテるわけない(#40:朝日に消えた人魚)」といわれた結城真一さんに、実はファンレターが山のように届いていたという(なんと毎週20~30通も!)。それも子供ではなく圧倒的に若い女性からのものだったらしい(ファンレターの30%がOLさんで、残りは子供たちのお母さん!?)。

最近の特撮ヒーローの傾向は、なんと言っても変身前のヒーロー役に「イケメン」俳優が起用されていることだが、結城さんは24年前に人気を先取りしていたことになる。結城さんは今はやりのショーユ顔ではなく、出演者の中でも一番“濃い”顔だが(二番目は大葉さんか?)、1980年がまだまだ熱い時代だったことがこのエピソードからも窺われる。1954年5月11日生まれ、出演時は26歳だった。デパートの企画室に勤務していたが、モデルの仕事に駆り出されたのを機に転身(紳士服とかすごく似合いそう)。

また先の週刊誌記事によると、高校時代(北海高校)に甲子園に2回出場、南海ホークス(現ダイエー)からも誘いを受けた腕前だったという。確かに、北海高校(札幌市の名門私立で甲子園最多出場校、夏のみで33回出場!)は1970年と71年の夏の大会に連続出場している。結果は残念ながら1回戦敗退(1970年::滝川[兵庫]13-北海[南北海道]10, 1971年:美方[北陸]3-北海[南北海道]1)だったが、結城さんが高校球児だったことの方がちょっと驚き。#17:泣くな!野球小僧の回は結城さんメインの方がふさわしかったかもしれない。結城さんの本名は資料もなくわからないが、甲子園の新聞記事にみえる三和投手がそうではないかと想像している。
Toeiheromax11 デンジレッド(赤城一平)を演じた結城真一さんについては情報が極めて少ない。デンジマン出演後もいくつかのドラマに出ているが、その後芸能界から遠ざかってしまったせいもある。ネット上ではとんでもない噂話(デマ)が飛び交っていたが、先日発売された「デンジマンDVD」Vol.4と「東映ヒーローMAX」No.11(2004/11/1,辰巳出版)に掲載された座談会で、お元気な姿が明らかになった。座談会の詳細は各々の記事を読んでいただくとして、デンジマンに集った関係者の若い熱気が伝わってくる。「DVD」Vol.5の座談会記事(後編)も今から楽しみ!

参考文献:「週刊女性」1980/6/24 p.166, 「週刊平凡」1980/6/12 p.129

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2004年9月 9日 (木)

ふじやま丸

A 「フジヤマサガセ」-#16熱海編は小川博士の遺した謎の言葉を中心に物語が展開していく。この言葉、“暗号(anagram)”かと思いきや、単純に「ふじやま丸を探せ」で事件解決。ちょっとこのオチ、謎解きが単純すぎてつまらなかったが、「ふじやま丸」について調べてみたら、なかなか興味深い経歴の船であることを知った。

この船は、俳優の森繁久彌翁(1913年生まれの91歳!)が1964年に建造した日本最大のセーリングヨットで、全長72ft(約23m)、重量90tのケッチ型、二本マストの鋼鉄船で、冷暖房、ビーコン、レーダーと最新の装備を持つ名実共に日本一のヨットだった。かつて海軍の潜水艦を造っていた横須賀に近い追浜の造船所で建造された。森繁翁は石原慎太郎氏に紹介された天山号(メイキッス号に改名)を購入後、ヨット道楽にはまってしまい、あの佐島マリーナを建設、そしてとうとう世界一周のできる大型外洋帆船の建造に至ったという。建造費は当時のお金で約1億円というから、今なら途方もない額になるだろう。写真は「海よ友よ―メイキッスⅢ号日本一周航海記」 (森繁久彌著,朝日新聞社,1992年)より。
B_3 1964年5月、晴海埠頭でふじやま丸の進水式が行われた。東宝管弦楽団の演奏の中シャンパンが抜かれ、三笠宮さまや松田文部大臣など斯界の名士を招待、一般にも公開された。この船はその大きさだけでなく、全てが“日本製”というのが売りだったらしく、秋に開催される東京オリンピックでの「ハッタリかまし」が真の建造目的だったと、森繁翁ご本人が述懐されている。富士山丸(ふじさんまる)とせず、”ふじやま”丸としたのも外国人を意識した名称だったという。江ノ島ヨットハーバーに専用バース(泊地)をもらい、同年8月、“海の女王”は翁の故郷-関西への処女航海に出発した。しかし寄港した西宮を襲った台風20号によって、堤防に乗り上げ大破してしまう。処女航海での沈没ならぬ大破とは、悲劇のタイタニック号を思わせるが、遭難の顛末は「アッパさん船長」(森繁久彌著,中公文庫,1978年,絶版)に詳しい遭難記「”死”の波濤の中で」が収録されている。台風の中の脱出劇は映画顔負けでマジにすごい!

森繁翁はこの後ふじやま丸を持て余して?熱海の後楽園に据えることになったらしい。日本ヨット史に輝く名艇を見てみたかったが、残念ながら90年代後半のホテルリニューアル時に撤去されてしまった。建造から30年を過ぎ老朽化した船体を晒し続けるよりも、女王にとってはよかったかもしれない(初代メイキッス号は奄美の小さな遊園地でボロボロになっているらしい)。

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2004年8月31日 (火)

すごい科学で守ります!−東映スーパー戦隊のSF的考証

B この本、いわゆる「スーパー戦隊シリーズ」の解説本なのだが、ただの解説本ではない。とにかくすごい本。何がすごいかというと本来全く話のつながりのないシリーズ全体を1つの話にまとめてしまっている!(デンジマンとサンバルカンが唯一つながりのあるお話というのはここではおいといて) 「すごい科学で守ります!(以下すごかがと略す)」(長谷川裕一著,NHK出版,1998年)では「バトルフィーバーJ」から「メガレンジャー」まで、そして続編の「もっとすごい科学で守ります!」 (HNK出版,2000年)ではなんと「仮面ライダー」や「宇宙刑事シリーズ」まで「同じ地球で起こった出来事」として堂々と、もっともらしく(強引に?)解説していく。科学的考証ではなくて、あくまでSF考証なので、科学ならぬ“すごい科学”と呼ぶ-未知の科学理論が根拠になっている。

特撮ものの科学的考証というと有名な「空想科学読本」 (柳田理科雄著,メディアファクトリー,1996年)がある。こちらは続編やコミカライズ、最近では文庫版も出ているようなので結構売れてるらしい。しかし、もともとが特撮でありSFなのだから、非現実的な設定の矛盾点を突いて「こんな事あり得ない!」とあら探しをしても虚しいだけ。特撮ファン(子供も含め?)は荒唐無稽なものと百も承知で、空想科学物語を楽しんでいるのだから。はっきりいって“野暮”というもの。
1norab 著者の長谷川裕一氏は、1961年生まれの千葉県出身の漫画家。代表作は「マップス」で、今はなき学研の「コミックNORA」で1985年から10年近く連載された 60年代テイストのスペースオペラ的冒険活劇少年マンガ。マップスは17巻にも及ぶ大長編(他に外伝が2巻もある)だが、読み始めるとぐんぐんストーリーに引き込まれてしまう。設定が斬新なのか、ストーリー展開が常識を越えているのか、読者を楽しませようという作者のエネルギーが詰め込まれていることは確か。最初のうち物語設定の大風呂敷がどんどん広がる一方で、お話のテンポもゆくっりなので先行きが不安になるが、どんどんスピードアップ(かつヒートアップ)していくのでご安心を。氏は最近ガンダムなどのコミカライズも手がけているが、オリジナルでは「轟世剣ダイ・ソード」「クロノアイズ」がおもしろい。かわいい女の子がたくさん出てくるのも長谷川氏の作風で、お約束の「脱がし」シーンもあるが、エロくないのも特徴(なんでだろう?)

「すごかが」は長谷川氏が日本SF大会(1996年のDAINA☆CON[名古屋]、97年のあきこん[広島])で行った「東映スーパー戦隊のSF考証」に関する講演をベースにまとめたもの。今年8月に開催された日本SF大会(岐阜)のプログラムにも「すごい科学で守ります!In G-con」があるので、最近の戦隊が取り上げられたかもしれない。氏は「TVチャンピオン 特撮悪役大会第1回チャンピオン」(2000年,テレビ東京)でもあり、特撮マニア度は他の追随を許さない。1話でもおろそかにしない番組に対する態度(愛?)は「すごかが」を読めば納得できる。ちなみに「もっとすごい科学で守ります!」は2001年の星雲賞(ノンフィクション?部門)、「クロノアイズ」は2003年の星雲賞を受賞している。星雲賞というのはSF界では老舗の賞で、SF大会参加者の投票により選ばれる(暗黒星雲賞というのもある)。
B_2 さて「すごかが」からデンジマンに関連する部分を紹介すると、

・デンジファイターは「デンジ推進システム」で飛んでいる。(1)p.16
・デンジマンのスーツは「デンジ電送システム」によって電送、装着される。着ていた服は基地へ転送される。(2)p.105
・デンジマンの“マン”は英語か? マンとは戦士の尊称を意味する宇宙語。(2)p.148
・メカの形状から、バイオ星人はデンジ星人の子孫と考えられる。(1)p.56
・へドリアン女王とバンドーラは非常に似ているので、両者は元々同じ血族であろう。(1)p.146
※(1):「すごい科学で守ります!」,(2):「もっとすごい科学で守ります!」

特にこのデンジ推進システムというのは「すごかが」の“すごい科学”理論の根幹をなすテクノロジーで、「おおよそ三角形をしていれば飛ぶ」という大胆不敵な理論。「デンジバリアーを三点力場で保持して・・・」とたいへん難解な?理論なので、詳しくは「すごかが」を読んでいただければと思う。右図はその図解。このシステムを使うと“靴みたいな”形をしたデンジタイガーも宇宙帆船グレートクイーン号もいとも簡単に飛んでしまうから不思議!? また長谷川氏は、デンジマンがサンバルカンを助けに来る気配がないことについても、言及しており、「デンジマンは宇宙から来る より巨大な悪の影にそなえて密かに地球を発っていた」と驚愕の新事実?が語られている。なお(1)の巻末には「すごかが」スーパー年表が付いている。

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2004年8月21日 (土)

デンジ号

Synara1b デンジマン劇場版はファンの間でも評価が高い。これはデンジ姫の伝説をからめた物語のスペースオペラ的な脚色もさることながら、デンジ号として本物の帆船を使ったことも映像に高級感(つくりものでないというべきか)を与えているのだと思う。それだけこの映画にお金がかかっているともいえる。45分の長尺ものになっているのもだてではない(ただ長くするだけではダメなんだと思う)。当時の映像では全てのセールが白色だが、現在は2枚目が赤色になっている。普段のクルーズでは全部の帆を張ることはないそうだ。
Synara2b この船の名はシナーラ号(Synara)といい、1927年に英国のキャンパー&ニコルソンズ造船所で建造された(なんと今年で77歳!)。いわゆる帆船ではなくガフケッチという形式の大型のヨット。2本マストに6枚のセールを開き帆走する優美な姿から“海の貴婦人”と呼ばれているという。確かに帆船の写真集などで他の同形式の船と比べてみるとその美しさがわかる。船体の大部分はチーク材を使用し、舵輪・構造物は豪華なニス仕上げ。船内はマホガニー・ローズウッドなど今日では入手不可能な逸材で造られており、まるで船全体がアンティーク家具といってもよい。クルーの話では高級材を使用しているため、ふつうの船に比べて傷まなく長持ちなんだそうだ。
初代のオーナーはノーサンプトン侯爵で、アーネスト・ドーソンの詩に登場する女性の名にちなんで”シナーラ”と名付けられた。その後は有名な英国の首相サーウインストン・チャーチルや大船主C・ビルマイヤー、レーシングドライバーのダンカン・ハミルトン等の愛艇となった。そんな歴史的な名艇がどのような経緯で日本の油壺にやって来たかはわからないが、シーボニアに来てはや31年になるという。このマリーナは会員だけでなく一般人も入れるし(いい意味で庶民的)、料金もリーズナブルでクラブハウスでお茶しながらヨットや海を眺めているだけでリッチな気分が味わえる。シナーラ号も乗合クルーズなどいろいろとイベントが企画されているので、興味のある方はぜひ問い合わせてみることをお勧めする。

船名  シナーラ
船型  ガフケッチ
建造年  1927年
全長  96ft(約29m)
全幅  5.6m
マスト高  31m
総トン数  73t
帆枚数  6枚
旅客定員  30名

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2004年8月 9日 (月)

八手三郎−原作者の謎

Yatudeb_1「デンジマンの原作者“八手三郎”に今まで会った人はいない。」 なんかトリビアの泉みたいだが、知っている人は知っている話。八手三郎をネットで調べてみると驚くほどいろいろな説(デマ話)が出てくる!

・八手三郎は実在する。
・すでにお亡くなりになっている。
・実は8人いる。
・容貌がタコみたい。
・現在は息子の八手四郎氏が原作を代筆している。
・実は女性だ。
・戦隊ものに毎回チョイ役で出演している。
・東映本社に脳だけになって保管されている(ちょっとコワイ・・・)。

などなど、以上全部ウソです。ご注意を! まあ有名な話なのでコラムに取り上げるのはどうかなと思ったが、“特撮初心者”(かくいう私自身半年前まで知らなかった)のために、FAQ(Frequently Asked Question/よくある質問)としてわかったことをまとめておきたい。 まず、八手三郎は実在する人物名ではない。東映株式会社テレビ事業部の共同ペンネームである。最初は東映の名プロデューサーであった平山亨氏が脚本を書くときのペンネームだったが、次第にテレビ事業部の共同ペンネームとなり、氏の定年後も使われているというのが真相。デンジマンは1980年なので完全に共同ペンネーム時代の作品(バトルフィーバーまでは平山氏の企画)。このような会社やプロダクションの共同ペンネームとしては、他にも「矢立肇(やたてはじめ)」(日本サンライズ)や「葉村彰子(はむらあきこ)」(水戸黄門)がある。著作権を主張する際に、個人名を使った方が有利というのが理由らしい。

次に八手三郎はどう読むのが正しいか、どうも「やつでさぶろう」が正しいようだ。平山氏は京都撮影所時代、時代劇の脚本を書いており、脚本の催促に対して時代劇風に「やって候(今やってますよー)」と言い訳していた。ここから「やってそうろう」→「やってさうろう」→「やつでさぶろう」となって、八手三郎が誕生したといわれている。「はってさぶろう」とルビを打っている昔の雑誌類もあるが、おそらく本当の読みを知らなかったのではないか?(私も“はって”とよんでいた)

Photo_2  平山氏は「悪魔くん」からはじまって「仮面ライダー」、「人造人間キカイダー」、「ロボット刑事」、「がんばれ!!ロボコン」そして戦隊もののルーツ「秘密戦隊ゴレンジャー」まで、東映の子供向け番組で数々のヒットを飛ばしたすごい人。東映の石森章太郎原作番組のほぼすべてを担当しているといってもいい(もちろん他の原作も手がけている/ジャイアントロボ-横山光輝、バロム1-さいとうたかを)。肩書きはプロデューサーだが、八手三郎名義で膨大な量の脚本と歌詞を手がけている。あまりにも偉い人だったので定年後、平山氏が脚本等を書くとき使っていた八手三郎というペンネームが東映テレビ事業部の共同ペンネームになったのだろう。平山氏の東映子供向け番組づくりについては東映ヒーロー名人列伝 (平山亨著, 風塵社, 1999年)に詳しい。興味深いエピソード満載なのでぜひ一読をお勧めしたい。

平山亨氏は、1929年東京都生まれ、1954年東京大学文学部美術史学科卒業後、東映へ入社京都撮影所助監督を経て、1965年本社テレビ部プロデューサーとなり、「仮面ライダー」など変身ヒーローもので数々のヒットを飛ばす。1989年東映退社。現在もフリーのプロデューサーとして、脚本、作詞、雑誌寄稿など現役でご活躍中である。近作は「侵略美少女ミリ」。

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