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2004年8月31日 (火)

すごい科学で守ります!−東映スーパー戦隊のSF的考証

B この本、いわゆる「スーパー戦隊シリーズ」の解説本なのだが、ただの解説本ではない。とにかくすごい本。何がすごいかというと本来全く話のつながりのないシリーズ全体を1つの話にまとめてしまっている!(デンジマンとサンバルカンが唯一つながりのあるお話というのはここではおいといて) 「すごい科学で守ります!(以下すごかがと略す)」(長谷川裕一著,NHK出版,1998年)では「バトルフィーバーJ」から「メガレンジャー」まで、そして続編の「もっとすごい科学で守ります!」 (HNK出版,2000年)ではなんと「仮面ライダー」や「宇宙刑事シリーズ」まで「同じ地球で起こった出来事」として堂々と、もっともらしく(強引に?)解説していく。科学的考証ではなくて、あくまでSF考証なので、科学ならぬ“すごい科学”と呼ぶ-未知の科学理論が根拠になっている。

特撮ものの科学的考証というと有名な「空想科学読本」 (柳田理科雄著,メディアファクトリー,1996年)がある。こちらは続編やコミカライズ、最近では文庫版も出ているようなので結構売れてるらしい。しかし、もともとが特撮でありSFなのだから、非現実的な設定の矛盾点を突いて「こんな事あり得ない!」とあら探しをしても虚しいだけ。特撮ファン(子供も含め?)は荒唐無稽なものと百も承知で、空想科学物語を楽しんでいるのだから。はっきりいって“野暮”というもの。
1norab 著者の長谷川裕一氏は、1961年生まれの千葉県出身の漫画家。代表作は「マップス」で、今はなき学研の「コミックNORA」で1985年から10年近く連載された 60年代テイストのスペースオペラ的冒険活劇少年マンガ。マップスは17巻にも及ぶ大長編(他に外伝が2巻もある)だが、読み始めるとぐんぐんストーリーに引き込まれてしまう。設定が斬新なのか、ストーリー展開が常識を越えているのか、読者を楽しませようという作者のエネルギーが詰め込まれていることは確か。最初のうち物語設定の大風呂敷がどんどん広がる一方で、お話のテンポもゆくっりなので先行きが不安になるが、どんどんスピードアップ(かつヒートアップ)していくのでご安心を。氏は最近ガンダムなどのコミカライズも手がけているが、オリジナルでは「轟世剣ダイ・ソード」「クロノアイズ」がおもしろい。かわいい女の子がたくさん出てくるのも長谷川氏の作風で、お約束の「脱がし」シーンもあるが、エロくないのも特徴(なんでだろう?)

「すごかが」は長谷川氏が日本SF大会(1996年のDAINA☆CON[名古屋]、97年のあきこん[広島])で行った「東映スーパー戦隊のSF考証」に関する講演をベースにまとめたもの。今年8月に開催された日本SF大会(岐阜)のプログラムにも「すごい科学で守ります!In G-con」があるので、最近の戦隊が取り上げられたかもしれない。氏は「TVチャンピオン 特撮悪役大会第1回チャンピオン」(2000年,テレビ東京)でもあり、特撮マニア度は他の追随を許さない。1話でもおろそかにしない番組に対する態度(愛?)は「すごかが」を読めば納得できる。ちなみに「もっとすごい科学で守ります!」は2001年の星雲賞(ノンフィクション?部門)、「クロノアイズ」は2003年の星雲賞を受賞している。星雲賞というのはSF界では老舗の賞で、SF大会参加者の投票により選ばれる(暗黒星雲賞というのもある)。
B_2 さて「すごかが」からデンジマンに関連する部分を紹介すると、

・デンジファイターは「デンジ推進システム」で飛んでいる。(1)p.16
・デンジマンのスーツは「デンジ電送システム」によって電送、装着される。着ていた服は基地へ転送される。(2)p.105
・デンジマンの“マン”は英語か? マンとは戦士の尊称を意味する宇宙語。(2)p.148
・メカの形状から、バイオ星人はデンジ星人の子孫と考えられる。(1)p.56
・へドリアン女王とバンドーラは非常に似ているので、両者は元々同じ血族であろう。(1)p.146
※(1):「すごい科学で守ります!」,(2):「もっとすごい科学で守ります!」

特にこのデンジ推進システムというのは「すごかが」の“すごい科学”理論の根幹をなすテクノロジーで、「おおよそ三角形をしていれば飛ぶ」という大胆不敵な理論。「デンジバリアーを三点力場で保持して・・・」とたいへん難解な?理論なので、詳しくは「すごかが」を読んでいただければと思う。右図はその図解。このシステムを使うと“靴みたいな”形をしたデンジタイガーも宇宙帆船グレートクイーン号もいとも簡単に飛んでしまうから不思議!? また長谷川氏は、デンジマンがサンバルカンを助けに来る気配がないことについても、言及しており、「デンジマンは宇宙から来る より巨大な悪の影にそなえて密かに地球を発っていた」と驚愕の新事実?が語られている。なお(1)の巻末には「すごかが」スーパー年表が付いている。

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